類似商号規制の廃止により、今後は商号調査は不要ですか。
類似商号規制は廃止されましたが、同一の所在場所における同一の商号の登記は禁止されています。
よって、商号の調査は今後も必要です。
例
既登記会社の表示
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(商号)A株式会社
(本店)神戸市東灘区岡本3丁目2番1号
「前に株式会社」「後に株式会社」は同一商号ではない。 -
(商号)A有限会社
(本店)神戸市東灘区岡本3丁目2番1号
「有限会社」と「株式会社」は同一商号ではない。 -
(商号)A株式会社
(本店)神戸市東灘区岡本3丁目2番1号
「A」と「エー」は同一商号ではない。
新規設立予定会社の表示
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(商号)株式会社A
(本店)神戸市東灘区岡本3丁目2番1号
よって、登記は受理されます。 -
(商号)A株式会社
(本店)神戸市東灘区岡本3丁目2番1号
よって、登記は受理されます。 -
(商号)エー株式会社
(本店)神戸市東灘区岡本3丁目2番1号
よって、登記は受理されます。
類似商号規制の廃止について
(1) 事後的に裁判所で争う
旧商法下においては、事前規制により他人が登記した商号は同市町村において同一の営業のためにこれを登記することはできませんでした(旧商法19条)。
会社法では、このような規制はなく同市町村において他人が登記した商号と同一の商号が登記されることも予想されます。
この場合に問題があれば、事後的に裁判所で争う(不正競争防止法等)こととなります。
(注) 会社法第8条は、特に地域を限定していない
何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は 侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
(2) 支店所在地の(本店 東京都千代田区)等の表示を付加した商号は?
既に登記されている会社と類似商号の関係に立つ会社の支店の所在地における登記の申請は、既に登記されている会社 の商号と明らかに区別することができるものとして「(本店 東京都千代田区)」等の文字を商号に付加しない限り受理することができな いとする取扱い(大正10年10月8日付け司法省民事第375号当職回答参照)は、廃止されました。
当該会社の代表者等の書面による申出があるときは、職権で当該文字を抹消して差し支えないものされていますので、このような登記がさ れている場合の手続きをご希望の場合には、お問い合わせください。
(3) 商号の仮登記制度は廃止された。
商号の仮登記制度(旧商登法第35条から第41条まで参照)は、廃止されました(整備政令第1条第1号)。
ただし、施行日前にされた商号の仮登記(施行日前にされた申請に係るものを含む。)についての
- 予定期間の伸長
- 商号の仮登記の抹消
- 供託金の取戻し及び国庫への帰属
等については、なお従前の例によるとされています(整備法第136条第6項、整備政令第2条)。
「同一の所在場所」における「同一の商号」の登記の禁止について
★登記所に今後も類似商号調査簿が置かれる
今までは、登記所が積極的に類似商号を調査してくれたが、今後は自らの責任で「同一の所在場所」における「同一の商号」を含め調査することとなる。
【注意】
商業登記法27条の意味は法人の人格の同一性への混乱の回避と解されるようです。
よって、解散会社の調査も必要となります。